こんにちは!愛知県一宮市の児童発達支援・放課後等デイサービス「イロドリスポーツ浅井」です。
みなさんは、アスペルガー症候群という言葉を聞いたことがありますか?
アスペルガー症候群とは、知的な遅れのない自閉性障害のことです。
頭はいいけどなんだかこの子、不思議なところがあるな?
おしゃべりはできるけど、なんとなく受け答えがスムーズにいかないな?
そんなお子さんは周りにいないでしょうか。
今回は、アスペルガー症候群について、特徴や自閉症との違い、療育におけるポイントをご紹介します。
アスペルガー症候群ってなに? アスペルガー症候群について知りたい! という方は、ぜひ参考にしてくださいね。
アスペルガー症候群とは?自閉症との違い
アスペルガー症候群とは、自閉性障害のひとつ。自閉症スペクトラム障害の中の特性として分類されています。
広く「自閉症スペクトラム」に分類される
言葉や知的な遅れのない自閉性障害
今ではアスペルガー症候群ではなく、自閉症スペクトラム障害のひとつの特性として扱われています。知的な遅れがない場合に、アスペルガーと呼ばれます。
「自閉症」との違いは、端的に言えば知的な遅れの有無です。
自閉症は知的な遅れを伴う自閉性障害
自閉症も自閉症スペクトラム障害の中に分類されていますが、知的な遅れや言葉の発達の遅れを伴います。
アスペルガーは一見知能が高く、何の問題もないように見えますが、一部をご紹介すると、以下の特性が表れて発達障害としてみとめられるケースが多くあります。
- 共感性が低い
- コミュニケーションがうまくいかない
- こだわりの強さで生活面の困難さが出てきている
知能の高さゆえに困り感が分かりにくく、発見が遅れることも。
大きくなるにつれて特性が強く出て、困り感が強くなってきたときにはじめて発達が依頼を受診した……ということも少なくありません。
アスペルガー症候群の特徴
ここでは、よくあるアスペルガー症候群の特徴を見ていきましょう。
- 相手の思いを察することが難しい
- 一方的にしゃべりすぎてしまう
- 大人とのコミュニケーションを好む
- 言葉をそのままの意味でうけとってしまう
- こだわりが強い
- 同じ動作や言葉を繰り返す
- あいまいな言葉や表現が理解できない
- 運動がぎこちない
相手の思いを察することが難しい
アスペルガー症候群のお子さんは、相手も思いを察することが難しく、やりとりのトラブルになりやすい傾向があります。
たとえば、思ったことをそのまま口に出してしまい、相手を怒らせたり、悲しませたりすることも。
すべてのアスペルガーの子どもに当てはまるわけではありませんが、相手の気持ちを考えたら言えないようなこと、しないようなことをしてしまう可能性があります。
一方的にしゃべりすぎてしまう
自分の話ばかりしてしまう人、一方的にたくさんしゃべりすぎてしまう人という特徴も、アスペルガー症候群の特性の一つです。
相手の気持ちや反応を受け取るのが難しいため、相手がうんざりしていても、気が付かず話過ぎてしまうことがあります。
大人とのコミュニケーションを好む
アスペルガー症候群のお子さんは、子ども同士のコミュニケーションでは自分の思いを汲み取ってもらえずトラブルになってしまうことがあります。
そのため、気持ちを理解して上手にコミュニケーションをとってくれる大人とのやりとりを好む傾向があると言われています。
同年代の子どもたちとうまくいかないことがある、というのも特徴の一つです。
言葉をそのままの意味でうけとってしまう
アスペルガー症候群のお子さんは、言葉の裏を読んだり、行間を読んだりということが苦手です。
たとえば、本当はおもちゃを貸したくないのに、お友達が貸してと言われたときに「いいよ…」と悲しそうな顔で言ったとしても、「いいんだ」と素直に受け取ってしまいます。
アスペルガー症候群の特性を持つ子に気持ちを伝える時には、素直に分かりやすい言葉で伝えることが大切です。
こだわりが強い
アスペルガー症候群の子の中には、強いこだわりを持つお子さんも多くいます。
たとえば、ピンク色が大好きでピンク色のものしか持たない、特定のキャラクターやおもちゃに執着する、といった「こだわり」を発揮することがあります。
ささいなこだわりなら困り感は出てこないのですが、日常のマイルールが厳しいお子さんでは自分自身がルールに縛られつらくなってしまう事もあります。
同じ動作や言葉を繰り返す
アスペルガー症候群の子は、自閉症の子と同様に同じ動作や言葉を繰り返すことを楽しむ傾向があります。
たとえば、クルクルまわるのを楽しむ、ずっと同じ場所からジャンプを繰り返す、「らりらりらり…」といった意味のない音を出すことを好むなど、子どもによってパターンは様々です。
気に入った感覚刺激を繰り返し得ようとするため、他人から見ると「ただひたすら同じことをくりかえしている」ように見えます。
あいまいな言葉や表現が理解できない
アスペルガー症候群のお子さんの特徴のひとつが、あいまいな表現・言葉を理解できないという点です。
たとえば「もうちょっと」「もうすこし」や「いっぱい」「微妙に」など、あいまいな言葉を正確にくみ取ることができません。
そのため「もうちょっと大きくして」と言われても、困ってしまうのです。
運動がぎこちない
アスペルガー症候群の子どもだけではなく、発達障害をもつお子さん全般に言えることとして「運動するときの動きがぎこちない」という特徴があります。
発達障害は神経発達に特性があるため、目と手の協応がうまくいかないほか、頭ではわかっていても身体の動きがうまくいかないことも。
そのため、運動をしたときにも、動きのぎこちなさや不器用な面が見られる可能性があります。
アスペルガー症候群の療育のコツ
アスペルガー症候群のお子さんを療育する際の接し方のコツをかんたんにご紹介します。
接し方としては他の発達障害のお子さんと大きく変わりませんが、コミュニケーションの面で特別な配慮が必要なケースがあります。
- 視覚的にわかりやすい環境設定をする
- 指示は具体的かつ短く
- 見通しを事前にたてておく
- できる行動を伸ばし、できないことはフォロー
視覚的にわかりやすい環境設定をする
アスペルガー症候群のお子さんは、視覚的な情報をキャッチする方が得意なケースが多くあります。
そのため、視覚的にわかりやすい環境での療育がおすすめ。たとえば、ごちゃごちゃとした環境の中ではいろいろな刺激がありすぎて活動に集中できない可能性があります。
そうならないためにも、視覚的にすっきりと、指示がわかりやすい環境設定にしていきましょう。
指示は具体的かつ短く
アスペルガー症候群のお子さんは、あいまいな表現を理解するのが難しい特性があります。
また、ダラダラと指示を出してしまうと、物事の本旨がわかりづらくなってしまうことも。
誰に対しても言えることではありますが、指示は短く「具体的」に伝えましょう。
見通しを事前にたてておく
アスペルガー症候群のお子さんに対しては、たとえば、AのあとはBをするよ、○○時にこの活動はおしまいだよ、といったように、物事の見通しを事前にたてておくことが大切です。
見通しがたたないと不安になってしまい、遊んでいた中で急に「もうおしまいだよ!」と言われて受け入れられずパニックになるお子さんも少なくありません。
アスペルガーのお子さんにとって、事前に伝えておく、見通しをたてておくことはとても大切です。
できる行動を伸ばし、できないことはフォロー
アスペルガー症候群のお子さんは興味の範囲が非常に狭いことがよくあります。
その分、得意なことはどんどんのめりこんでいきますが、逆に苦手なことや興味のないことはうまく取り組めないケースも。
まずはできることに目を向け伸ばしていき、苦手なことを無理にやらせるのではなく、困りごとが減るようなフォローや工夫をしていくことが大切です。
まとめ
アスペルガー症候群のお子さんは、知的な遅れのない自閉性障害です。
一見何も問題がないように見えても、実はコミュニケーションに課題があり本人が生きづらさを抱えていることも。
特性上、理解されなかったり、発見が遅れてしまったりすることもあります。
大切なのは、お子さん自身の困りごとにアプローチし、対応していくこと。
まずは療育施設と家庭間での連携を密に行い、しっかりと本人の良さを伸ばしていきましょう。